日銀短観(9月調査)~大企業製造業の景況感は1改善の13、先行きは横ばい

2014年10月01日

(上野 剛志) 金融市場・外国為替(通貨・相場)

  1. 大企業製造業の業況判断D.I.が13と前回比で1ポイント上昇し、2四半期ぶりとなる景況感の改善が示された。一方、大企業非製造業の業況判断D.I.は13(前回比6ポイント下落)と製造業との間で方向感が分かれた。前回調査以降も消費の低迷が色濃く残り、生産や出荷も減少が続いている。大企業製造業では、8月下旬以降の急速な円安再開が多少織り込まれ、景況感が小幅に改善したが、内需依存度の高い非製造業では悪化が鮮明になった。中小企業は、製造業、非製造業ともに景況感が悪化した。中小製造業では円安による悪影響が出やすいことから、大企業との間で方向感に違いが出たとみられる。なお、先行きの景況感は総じて横ばいとなった。今後、駆け込み需要の反動減緩和は期待されるものの、不透明感も強く、まだ楽観視できる状況にはないと判断しているとみられる。
  2. 14年度事業計画はまずまずの内容。収益計画は依然減益計画ながら、前回からは売上・利益ともに小幅に上方修正されている。また、14 年度設備投資計画は前年度比4.2%増と上方修正された。今回の修正幅は2.4ポイントと、12年度9月調査や13年度9月調査の上方修正幅を上回り、強い内容と言える。ただし、上期・下期で見ると、上期計画が下方修正される一方で、下期計画が大幅な積み増しとなっており、一部先送りの動きが出ているとも見られるだけに、今後の下振れリスクもある。

経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志(うえの つよし)

研究領域:金融・為替

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴

・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

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