【8月米住宅着工】住宅市場は回復力を見極める段階

2014年09月19日

(高山 武士) 欧州経済

【要旨】

結果の概要:予想を下回る結果

9月18日に米国商務省と住宅都市開発省(HUD)が共同で8月の新築住宅建設統計を公表した。
注目度の高い8月の住宅着工件数は季節調整済の年換算で95.6万件(前月改定値:111.7万件)となり前月から減少、市場予想(Bloomberg集計の中央値、以下同様)の103.7万件も下回った。増加率は前月比で▲14.4%(前月改定値:+22.9%、市場予想:▲5.2%)であった。同時に発表された8月の住宅建築許可件数は99.8万件(前月改定値:105.7万件)となり、こちらも前月や市場予想(104.0万件)を下回った。住宅建築許可件数の増加率は前月比で▲5.6%(前月改定値:+8.6%、市場予想:▲1.6%)であった。
また、住宅着工が公表される前日の9月17日には全米住宅建設業協会(NAHB)が住宅建築業者の景況感を示す住宅市場指数(HMI)を公表している。9月のHMIは59となり、前月(55)や市場予想(56)をともに上回った(詳細はPDFを参照)。
8月の住宅着工や建築許可件数はともに7月から減少、一因としては7月の数値が高めであったことによる反動減があるだろう。ただし、予想も下回っており、7月分の上方修正(着工が109.3万→111.7万、建築許可が105.2万→105.7万)を勘案してもやや弱めの結果であったと言える。
一方、建築業者の景況感は良好さを維持しており、また住宅価格が頭打ちしていることなど、住宅市場に追い風が見られることも事実である。8月の住宅着工は弱含んだとはいえ回復基調から大きく外れるような動きではないことから、住宅市場の回復力を見極める段階にあると言える。


経済研究部   主任研究員

高山 武士(たかやま たけし)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴

【職歴】
 2002年 東京工業大学入学(理学部)
 2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
 2009年 日本経済研究センターへ派遣
 2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
 2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
 2014年 同、米国経済担当
 2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
 2020年 ニッセイ基礎研究所
 2023年より現職

【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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