経済研究部 准主任研究員
斉藤 誠(さいとう まこと)
研究領域:経済
研究・専門分野
東南アジア経済、インド経済
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1.4-6月期は前年同期比+5.1%に減速
インドネシア中央統計庁(BPS)は8月5日、2014年4-6月期の国内総生産(GDP)を公表した。実質GDPは前年同期比(原系列)5.1%と減速し、前期(同+5.2%)、市場予想(同+5.2%)の双方をやや下回った。
2.新政権の大衆迎合姿勢の転換に期待
インドネシアの2014年4-6月期のGDP成長率は前年同期比+5.1%と減速し、過去4年半の最低水準を記録した。成長率鈍化の主因は投資の減速と輸出の停滞である。投資は7月の大統領選を前にした投資の見極め姿勢や昨年からの積極的な利上げが影響して減速傾向にある。また、輸出は未加工鉱石の輸出制限措置1の影響などによって緩やかな海外の景気回復の恩恵を享受できていない。先行きは、個人消費が人口ボーナスや賃上げを背景に堅調さを保ちつつ、投資が政策の不透明感が晴れていくにつれて動き出すことから一層の景気減速は避けられると見ている。ただし、新政権発足後も鉱石の輸出制限措置の継続によって輸出が低迷するほか、燃料補助金の追加削減によってインフレ率が再上昇し、金融引き締め姿勢が続くなど景気回復は当面力強さに欠けるものとなりそうだ。
次政権のジョコ氏サイドが選挙期間中に掲げた政策は、燃料補助金の削減を除けば、大規模なインフラ投資、格差是正、汚職撲滅、国内企業を優先とする保護主義的姿勢など国民にとって耳障りのいい政策が多い。しかし、実際にはバラマキ型の公約の実現には巨額の財源が伴うため、補助金削減以外の税収増や歳出削減策が必要である。また、外資政策も「内向き」型から製造業にはインセンティブ付与といった業種毎の「メリハリ」型に態度を転換しなければ、対内直接投資を呼び込み、産業の競争力強化や雇用創出を図ることは難しい。選挙を終えた今、公約を違えない範囲でどれだけ大衆迎合姿勢を転換できるかに注目したい。
経済研究部 准主任研究員
研究領域:経済
研究・専門分野
東南アジア経済、インド経済
【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職