相関係数を改めて考える-「見方」を変えると答えが変わる

2014年07月31日

(高岡 和佳子) リスク管理

■要旨

相関係数は証券投資理論やリスク管理で必要不可欠である。相関係数とは、2資産の価格変動(収益率)がどの程度関係しているかを表す尺度である。収益率は日次と年次といったデータ間隔によって大きく異なるが、関係性はデータ期間によらず一定と考えられている。しかし、実際のデータを用いて推計すると、データ間隔によって相関係数は異なり、データ間隔が長くなるほど相関係数(絶対値)が高まるようだ。これは推計誤差による偶然の事象とも解釈できるが、当レポートでは他の要因の可能性を追求する。証券投資理論の多くは、市場が完全に効率的であることを前提とするが、実際の市場は完全に効率的であるとは言えない。市場が完全に効率的でないことを考慮すると、実際のデータから観測される、データ間隔が長くなるほど相関係数(絶対値)が高まるといった現象を合理的に説明できることを示す。

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