【5月米住宅価格】ケース・シラー指数が下落へ

2014年07月30日

(高山 武士) 欧州経済

【要旨】

結果の概要:ケース・シラー指数が前月比マイナスに転じる

7月29日にS&Pが発表した5月のケース・シラー住宅価格指数(20都市総合、以下ケース・シラー指数)は、原系列の前年同月比で+9.3%となり、4月(改定値)の同+10.8%から減速、市場予想(Bloomberg集計の中央値、以下同様)である同+9.9%を下回った。また、季節調整済の前月比では▲0.2%と4月(同+0.1%)からマイナスに転じ、市場予想の同+0.3%も下回った。
一方、7月22日に連邦住宅金融局(FHFA)が発表した5月の住宅価格指数(HPI)は前月比+0.4%と横ばいとなり、こちらは4月(改定値)の同+0.1%から加速、市場予想の+0.2%も上回る結果であった。ただし前年同月比では+5.6%と4月(同+6.2%)から減速している(詳細はPDFを参照)。
住宅価格の水準は、ケース・シラー指数で見てピーク時の8割強、より平均的な購入者を対象にしたHPIはピーク時の9割以上まで上昇してきた(後掲図表3・7)。金融危機後の住宅価格の上昇ペースが速かったことは、住宅需要がなかなか盛り上がらず、住宅販売や着工の回復が遅れてきた要因のひとつでもある。しかし、今回発表された5月はケース・シラー指数が前月比マイナスに転じるなど、足もとでは下落圧力も強くなっており、今後は価格上昇に歯止めがかかり、これが住宅需要の増加につながっていくのかが注目される。


経済研究部   主任研究員

高山 武士(たかやま たけし)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴

【職歴】
 2002年 東京工業大学入学(理学部)
 2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
 2009年 日本経済研究センターへ派遣
 2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
 2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
 2014年 同、米国経済担当
 2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
 2020年 ニッセイ基礎研究所
 2023年より現職

【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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