QE3終了へのカウントダウン~マーケット・カルテ8月号

2014年07月17日

(上野 剛志) 金融市場・外国為替(通貨・相場)

7月に入ってからもドル円相場は膠着推移を続けている。好調な米雇用統計を受けたドル上昇も長続きしなかった。

しかし、今後3ヵ月という時間軸では、従来の見方同様、やや円安ドル高が進むと見ている。米景気回復が続くことで現状の米低金利が正当化できなくなるためだ。また、10月とみられる米量的緩和(QE3)終了のカウントダウンが今後も進むことで、次第に米利上げに意識が向かいやすくなることも米金利上昇圧力となる。日米金利差が緩やかに拡大することでドル高圧力が徐々に強まるだろう。米金利上昇は、同時に米株安を通じたリスクオフの円買いを誘発する可能性があるが、その際も米企業業績の回復期待が維持されることで、一時的な動きに留まると見ている。

ユーロ円相場は最近も方向感を欠く動きを続けている。6月のECB追加緩和がユーロ安材料として引き続き意識されやすい地合いにあるとみられるが、日銀の緩和スタンスも強力だ。また、ユーロ圏の巨額の貿易黒字がユーロ円の下支えとなるため、3ヵ月後のユーロ円は現状比で横ばい程度と予想する。

長らく0.6%前後で推移してきた長期金利は最近下方シフトし、0.5%台前半から半ばでの推移になっている。ただし、この低水準に追随できる投資家は少ないとみられ、3ヵ月後は米金利上昇などを材料として、若干上方に水準調整が入ると見ている。
 
(執筆時点:2014/7/17)

経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志(うえの つよし)

研究領域:金融・為替

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴

・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

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