資金循環統計(14年1-3月期)~個人金融資産残高は1630兆円、前年比52兆円増

2014年06月18日

(上野 剛志) 金融市場・外国為替(通貨・相場)

■見出し

・個人金融資産(14年3月末): 前期比では前期比では14兆円減
・資金流出入の詳細: リスク性資産への資金流入が顕著
・部門別資金過不足等:企業の現預金は過去最高に、日銀の国債保有シェアはさらに上昇

■要旨

2014年3月末の個人金融資産残高は、前年比52兆円(3.3%)増の1630兆円となった 。残高は過去最高を記録した13年12月末に次ぐ過去2番目の高水準。年間で資金の純流入が25兆円あったのに加え、アベノミクス下の円安・株高を受けて時価 が27兆円増加したため、12年度に続き金融資産が大きく増加した。一方、四半期ベースでは、前期(13年10-12月)末比で14兆円の減少。例年1-3月期は一般的な賞与支給月を含まないためフローで流出超過となる傾向があるうえ、年末以降に円高・株安が進行したことで、時価が9兆円減少したことも影響した。

1-3月期の個人金融資産への資金流出入について詳細を見ると、季節要因(賞与等)によって例年同様、現預金からの資金流出が顕著であるが、今回の資金流出規模は大きい。リスク性資産については、投資信託への資金流入額がプラスを維持したうえ、長らく資金流出が続いていた株式・出資金が1.8兆円の流入に転じた。年初からのNISA始動が、今回のリスク性資産への資金流入に繋がったとみられる。

3月末の民間非金融法人の現預金残高は昨年12月末比11兆円増の232兆円となり、2四半期ぶりに過去最高を更新した。負債サイドの借入金はこの間1兆円の増加に留まるため、純積み増し額は9兆円となる。年度ベースでは現預金が9兆円、借入金が4超円それぞれ増加している。企業の現預金が積みあがっていく状況はこれまでと変わらないが、駆け込み需要という特殊要因が影響した可能性がある。

経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志(うえの つよし)

研究領域:金融・為替

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴

・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

レポートについてお問い合わせ
(取材・講演依頼)