経済研究部 上席エコノミスト
上野 剛志(うえの つよし)
研究領域:金融・為替
研究・専門分野
金融・為替、日本経済
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■見出し
・貸出動向: 5ヵ月ぶりに伸び率が拡大
・マネタリーベース: まだ問題なし
・マネーストック: 減速感強まる
■要旨
5月の銀行貸出(平残)の伸び率は前年比2.4%(前月は2.2%)となった。伸び率は昨年12月の2.6%をピークとして縮小してきたが、5ヵ月ぶりに拡大。引き続き、M&AやREIT向け貸出等が牽引したようだ。銀行貸出の伸びは2%台前半で一進一退となっている。今年3月末時点の業種別貸出動向を見ると、伸び率上位には情報通信をはじめ、電力・ガス、金融・保険、医療・福祉など非製造業が名を連ねているほか、昨年3月末比で伸び率を高めているのも非製造業が多い。
5月のマネタリーベース平残は224.4兆円と15ヵ月連続で過去最高を更新した。前年比伸び率は45.6%と引き続き高い伸び率を維持しているが、前月から小幅に低下した。日銀当座預金の伸び率が縮小した影響が大きい。なお、季節調整済みのマネタリーベース(平残)の増加幅は、今年に入ってからの5ヵ月平均で月間5.7兆円。日銀の掲げるマネタリーベース年末見通しに向けて、まだ問題ないペースで進捗していると判断される。
マネーストック統計によると、市中通貨量を示す5月のM2、M3、広義流動性はそれぞれ縮小。縮小はM2、M3で4ヵ月連続、広義流動性では5ヵ月連続となった。マネーストック増加要因である経常収支黒字が縮小していることに加え、今年に入ってからの銀行貸出の伸び悩みが、市中マネー増加ペースの減速に影響していると考えられる。
経済研究部 上席エコノミスト
研究領域:金融・為替
研究・専門分野
金融・為替、日本経済
・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)