【インドGDP】投資主導で経済は加速へ

2014年06月03日

(斉藤 誠) アジア経済

1.5%割れの低成長が続く

インド中央統計機構(CSO)は5月30日に2014年1-3月期の国内総生産(GDP)を公表した。実質GDP成長率(供給側 )は前年同期比+4.6%の増加と、前期(同+4.6%)から横ばいとなった。その結果、2013年度 のGDP成長率は前年度比+4.7%(前年度:同+4.5%)と、2年連続の4%台となった。



2.投資主導で経済は加速へ

1-3月期のインドの成長率(供給側)は前年同期比+4.7%と、5%を下回る冴えない結果となったが、支出項目別に見ると個人消費が大きく加速したことが分かる。食品などインフレ率(CPI)の低下 が、低・中所得者層の購買力の上昇に直結したと見られる(図表3)。過去2四半期は消費と投資が揃って弱い最悪期であったことを踏まえれば、個人消費の改善は好感できる。
先行きは、投資主導で経済が加速することになりそうだ。その鍵を握るのはナレンドラ・モディ首相の政治手腕である。総選挙では、モディ氏率いるBJP(インド人民党)が圧勝 した。BJPの圧勝は、モディ氏の政策実現力への期待の表れであり、国民はモディ氏がグジャラート州で外資誘致の成功体験を全国展開してくれることを願っている。モディ氏が外資規制の緩和 、電力・交通など産業インフラ整備を進め、外国投資を誘致することができれば、これまで弱かった製造業の産業集積を形成することも夢ではない。製造業をテコ入れできれば雇用や所得が増え、個人消費が活性化する。また、輸出や税収が増えて財政赤字・経常赤字の問題も解消に向かうだろう。インフレ加熱に伴う利上げが投資を減速させるなど先行きに懸念材料はあるものの、総選挙で30年ぶりの単独過半数を獲得したBJPの期待度は大きい。これからBJPが打ち出す経済構造改革からは目が離せない。

経済研究部   准主任研究員

斉藤 誠(さいとう まこと)

研究領域:経済

研究・専門分野
東南アジア経済、インド経済

経歴

【職歴】
 2008年 日本生命保険相互会社入社
 2012年 ニッセイ基礎研究所へ
 2014年 アジア新興国の経済調査を担当
 2018年8月より現職

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