【2月米住宅価格】上昇中だが、伸び率は鈍化傾向が続く

2014年04月30日

(高山 武士) 欧州経済

【要旨】

結果の概要:伸び率の鈍化傾向が続く

4月29日にS&Pが発表した2月のケース・シラー住宅価格指数(20都市総合、以下ケース・シラー指数)は、季節調整済の前月比で+0.8%、原系列の前年比で+12.9%となった。市場予想(Bloomberg集計の中央値、以下同様)である前月比で+0.8%、前年同月比で+13.0%とほぼ同様の結果であった。また、1月(改定値)の前月比で+0.8%、前年同月比で+13.2%と比較すると、前年比ベースでやや伸び率が鈍化したものの、変化幅は小幅にとどまった。
一方、4月22日に連邦住宅金融局(FHFA)が発表した2月の住宅価格指数(HPI)は前月比+0.6%と1月改定値(同+0.4%)よりやや加速、市場予想の+0.5%もわずかに上回っている。ただし、前年同月比では+6.9%と1月改定値(同+7.2%)から伸び率が鈍化しており、2013年後半に住宅価格の伸び率がピークアウトしている傾向はケース・シラー指数と同様である。
住宅価格の水準を見ると、ケース・シラー指数は、ピーク時の8割強であり、上昇余地があるように思われるが、より平均的な購入者を対象にしたHPIで見ればピーク時の9割以上まで回復しており、住宅の割安感は薄れていると考えられる(詳細はPDFを参照)。今後、賃金の改善ペースが緩慢ななか、住宅価格の伸び率についても鈍化が続くのかが注目と言える。


経済研究部   主任研究員

高山 武士(たかやま たけし)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴

【職歴】
 2002年 東京工業大学入学(理学部)
 2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
 2009年 日本経済研究センターへ派遣
 2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
 2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
 2014年 同、米国経済担当
 2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
 2020年 ニッセイ基礎研究所
 2023年より現職

【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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