資金循環統計(13年10-12月期)~個人金融資産残高は過去最高の1645兆円、前年比93兆円増

2014年03月25日

(上野 剛志) 金融市場・外国為替(通貨・相場)

■見出し

・個人金融資産(13年12月末): 前期比では35兆円増
・資金流出入の詳細: 税制変更の影響でかく乱
・部門別資金過不足等: 企業の借入増が顕著に、日銀の国債保有シェアはさらに上昇

■introduction

2013年12月末の個人金融資産残高は、前年比93兆円増の1645兆円となった 。残高は過去最高を大きく更新したことになる。一年間で資金の純流入が30兆円あったうえ、アベノミクス下の円安・株高を受けて時価が63兆円増加し、金融資産の大幅増加をもたらした。四半期ベースでは、前期末比で35兆円の増加となった。例年10-12月期は一般的な賞与支給月を含むことからフローで流入超過となる傾向があり、今回も19兆円の流入超過となった。また、年末にかけて円安・株高が進行したことに伴って時価が16兆円増加した。

10-12月期の個人金融資産への資金流出入について詳細を見ると、リスク性資産については、投資信託への資金流入額が1.2兆円と過去2年の同時期を上回る水準となった一方で、株式・出資金からの流出額が4.1兆円に達し過去最高を記録するなど、まちまちの結果に。株式・出資金からの大量資金流出は、証券優遇税制廃止に伴う駆け込み売却の影響が大きかったためであり、この時期に家計が安全志向を強めたわけではないとみられる。個人投資家は年末にかけて株式を大きく売り越したが、新年入り後は買い越しが優勢になっている。足元では、堅調な投資信託も含めてリスク選好的な姿勢が強まっている可能性がある。

12月末の民間非金融法人の現預金残高は222兆円となり、過去最高であった9月末から2兆円減少した。一方、負債サイドの借入金は5兆円増加したため、純借入金残高は7兆円増加。純借入金の残高はまだ12年末の水準にも及ばないが、直近の動きには、事業拡大に向けた企業の前向きな姿勢も垣間見える。

経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志(うえの つよし)

研究領域:金融・為替

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴

・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

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