1月マネー統計~銀行貸出は裾野の広がりが鮮明に

2014年02月12日

(上野 剛志) 金融市場・外国為替(通貨・相場)

■見出し

・貸出動向: 裾野の広がりが鮮明に
・主要銀行貸出動向アンケート調査: 企業の資金需要は増勢強まる
・マネタリーベース: 堅調に増加
・マネーストック: リスク回避的な動きがやや優勢に

■要旨

1月の銀行貸出(平残)の伸び率は前年比2.5%(前月は2.6%)となった。伸び率は若干縮小したが、10ヵ月連続で2%台の伸び率を維持している。企業規模別では、中小企業の伸び率が大・中堅企業と遜色ないレベルまで持ち直している。また、業種別でも前年比プラスとなる業種が増加しており、銀行貸出の裾野の広がりが鮮明になってきている。

主要銀行貸出動向アンケート調査によれば、2013年10-12月期の(銀行から見た)企業の資金需要増減を示す企業向け資金需要判断D.I.は前回比4ポイント上昇の8となった。前回からプラス圏(「増加」が優勢)に浮上していたが、増勢がさらに強まった形。企業規模別では、中小企業が上昇幅・水準ともに大企業を上回り、全体を牽引している。

マネタリーベース平残は200.4兆円と11ヵ月連続で過去最高を更新した。前年比伸び率も51.9%(前月は46.6%)と拡大している。なお、月末残のマネタリーベースで見ると、1月末は200.9兆円と前月末比で1兆円減少。ただし、もともと12月末は資金需要が急増する時期であり、例年1月末にかけては反動で大幅に減少する。今回は減少幅が1兆円に留まっているほか、平残前年比や季節調整済み系列では増加基調を維持しており、堅調な増加が続いていると判断できる。

マネーストック統計によると、1月のM2平均残高の伸び率は前年比4.4%、M3は同3.5%とそれぞれ2ヵ月ぶりに拡大。一方、リスク性資産を含む広義流動性の伸び率は14ヵ月ぶりに縮小した。1月は株安・円高が進んだ影響で、リスク回避的な動きがやや優勢になったとみられる。

経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志(うえの つよし)

研究領域:金融・為替

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴

・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

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