一人勝ちのドイツ-強さの秘密、勝者の悩み

2014年01月10日

(伊藤 さゆり) 欧州経済

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■はじめに

債務危機克服の過程にあるユーロ圏でドイツの「一人勝ち」の様相が強まっている。債務危機が広がり始めた当初、単一通貨圏内での明暗の境界は、対外債権国と対外債務国、あるいは中核国と周辺国の間にあると思われた。しかし、13年には、債務危機に見舞われた周辺国がようやく下げ止まりの兆しを見せ始めたものの、フランスやオランダなど中核国や財政健全国は勢いを欠いたため、ドイツの「一人勝ち」の様相が一層鮮明になった。

2000年代前半には「欧州の病人」の異名をとっていたドイツ経済が、世界金融危機やユーロ圏の債務危機などの外部環境の混乱期にも強靭さを発揮できるようになったのか。以下、ドイツ経済の変貌ぶりとともに、転機となった労働市場と税・社会保障制度との一体改革を中心にドイツの強さの秘密と勝者の悩みについてまとめた。

経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり(いとう さゆり)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

経歴

・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職

・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
           「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員

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