鉱工業生産13年11月~年度末にかけて増産ペースは加速する公算

2013年12月27日

(斎藤 太郎) 日本経済

■見出し

・11月の生産は前月比0.1%にとどまる
・年度末にかけて増産ペースは加速する公算

■要旨

経済産業省が12月27日に公表した鉱工業指数によると、13年11月の鉱工業生産指数は前月比0.1%と3ヵ月連続の上昇となったが、先月時点の予測指数の伸び(前月比0.9%)、事前の市場予想(QUICK集計:前月比0.3%、当社予想は同1.0%)をともに下回った。
製造工業生産予測指数は、13年12月が前月比2.8%、14年1月が同4.6%となった。生産計画の修正状況を示す実現率(11月)、予測修正率(12月)はそれぞれ▲1.7%、▲1.1%といずれもマイナスとなった。鉱工業生産は持ち直しの動きを続けているが、生産計画が下方修正される傾向は変わっていない。
予測指数を業種別に見ると、設備投資の持ち直しを反映し、はん用・生産用・業務用機械が好調を維持することが見込まれる(12月:前月比3.4%、1月:同14.3%)ほか、1月の輸送機械が前月比11.0%の大幅増産計画となっている。輸送機械は駆け込み需要によって出荷が高い伸びとなる一方、生産は抑制気味となっているため、在庫水準が大きく低下している。輸送機械は年度末にかけて生産の牽引役となることが予想される。
13年11月の生産指数を12月の予測指数で先延ばしすると、13年10-12月期は前期比2.7%となる。生産計画が下方修正される傾向が続いていることを考慮しても、7-9月期の前期比1.7%から伸びが高まることが見込まれる。
先行きについては、消費税率引き上げ前の駆け込み需要に対応するため自動車などの耐久財を中心に大幅増産が見込まれることから、13年度末にかけて鉱工業生産の増産ペースは加速する可能性が高いだろう。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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