消費者物価(全国13年11月)~コアCPIが5年ぶりに1%台の伸びに

2013年12月27日

(斎藤 太郎) 日本経済

■見出し

・コアCPIが5年ぶりに1%台の伸び
・物価上昇の裾野がさらに広がる
・コアCPIは年度末まで1%台前半の伸びが続く見込み


■要旨

総務省が12月27日に公表した消費者物価指数によると、13年11月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比1.2%(10月:同0.9%)と6ヵ月連続のプラスとなり、上昇率は前月から0.3ポイント拡大し。10月に5年ぶりのプラスとなった食料(酒類除く)及びエネルギーを除く総合は前年比0.6%(10月:同0.3%)とさらに伸びを高めた。
消費者物価指数の調査対象524品目(生鮮食品を除く)を、前年に比べて上昇している品目と下落している品目に分けてみると、11月の上昇品目数は251品目(10月は241品目)、下落品目数は206品目(10月は211品目)となり、上昇品目数が7ヵ月連続で増加した。10月に4年5ヵ月ぶりに上昇品目数が下落品目数を上回ったが、両者の差はさらに拡大した。上昇品目数の割合は47.9%(10月は46.0%)、下落品目数の割合は39.3%(10月は40.3%)、「上昇品目割合」-「下落品目割合」は8.6%(10月は5.7%)であった。原材料価格上昇の直接的な影響を受けやすいエネルギー、食料品などに加えて、耐久財やサービスなどでも上昇品目が目立つようになっており、物価上昇の裾野の広がりはより明確となっている。
エネルギー価格の上昇が続くこと、幅広い品目で原材料価格の上昇を価格転嫁する動きが明確となってきたことに加え、13年度末にかけては消費税率引き上げ前の駆け込み需要もあり需給バランスのさらなる改善が見込まれることなどから、全国のコアCPIは年度末にかけて1%台前半の伸びが続く可能性が高い。ただし、14年度に入ると消費税率引き上げに伴う景気減速の影響などから伸びは頭打ちとなることが予想される。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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