土肥原 晋()
研究領域:
研究・専門分野
■要旨
1――米経済はどこまで回復したのか
米国経済では金融危機からは5年が経過した。全治3~4年と言われ、実際、株価やGDPはリセッション前の水準を回復している。
しかし、雇用や住宅市場がリセッション前の水準を回復するにはなおしばらく時間を要しそうである。何より現在の回復が、異例の金融緩和に支えられた景気の実体を考慮すると、完治には程遠いのが実情と言えよう。
2――変化を見せる米経済
金融危機後の足取りは、その最中に誕生したオバマ政権の歩みとも重なるが、一期目の中間選挙で下院を共和党が逆転支配して以来、有効な追加景気対策が打てないなど政権運営が思うようにいかず、迷走気味である。
しかし、こうした「迷走気味のオバマノミクス」にも係わらず、金融危機後5年間に及ぶ調整を経て米経済は回復に向かっている。今後も景気回復が持続すれば、強制歳出削減等で財政赤字が縮小し、シェールガス革命が貿易赤字を改善させ、長らく米経済の代名詞とされた「双子の赤字」からの脱出にも光明が灯る。
従前の景気サイクルに従えば、住宅投資や個人消費が持ち直すなど国内景気の回復に伴い経常赤字が拡大していたが、今後、シェール革命の寄与で経常赤字の改善が維持されるのであれば、米経済はこれまでと異なった道を歩むことが可能となるだろう。
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