消費者物価(全国13年10月)~4年5ヵ月ぶりに物価上昇品目数が下落品目数を上回る

2013年11月29日

(斎藤 太郎) 日本経済

■見出し

・米国型コアCPIが5年ぶりの上昇
・4年5ヵ月ぶりに物価上昇品目数が下落品目数を上回る
・コアCPIは年度末まで1%台の伸びが続く見込み


■要旨

総務省が11月29日に公表した消費者物価指数によると、13年10月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比0.9%(9月:同0.7%)と5ヵ月連続のプラスとなり、上昇率は前月から0.2ポイント拡大した。食料(酒類除く)及びエネルギーを除く総合(いわゆる米国型コアCPI)は前年比0.3%(9月:同0.0%)と、08年10月以来5年ぶりのプラスとなった。
消費者物価指数の調査対象524品目(生鮮食品を除く)を、前年に比べて上昇している品目と下落している品目に分けてみると、10月の上昇品目数は241品目(9月は226品目)、下落品目数は211品目(9月は231品目)となり、09年5月以来、4年5ヵ月ぶりに上昇品目数が下落品目数を上回った。上昇品目数の割合は46.0%(9月は43.1%)、下落品目数の割合は40.3%(9月は44.1%)、「上昇品目割合」-「下落品目割合」は5.7%(9月は▲1.0%)であった。
原材料価格上昇の直接的な影響を受けやすいエネルギー、食料品などに加えて、外食、月謝、フィットネスクラブ使用料などのサービスでも上昇品目が目立ち始めた。足もとの消費者物価上昇は裾野の広がりを伴ったものとなってきた。
エネルギー価格の上昇が続くこと、幅広い品目で原材料価格の上昇を価格転嫁する動きが明確となってきたことに加え、13年度末にかけては消費税率引き上げ前の駆け込み需要もあり需給バランスのさらなる改善が見込まれることなどから、全国のコアCPIは11月から年度末にかけて1%台の伸びが続く可能性が高い。ただし、14年度に入ると消費税率引き上げに伴う景気減速の影響や円安効果の一巡などから伸びは頭打ちとなることが予想される。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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