雇用関連統計13年9月 ~製造業の回復基調が鮮明に

2013年10月29日

(斎藤 太郎) 日本経済

■見出し

・失業率は0.1ポイント低下の4.0%
・製造業の新規求人数が大幅増加

■要旨

総務省が10月29日に公表した労働力調査によると、13年9月の完全失業率は前月から0.1ポイント低下し4.0%となった。労働力人口が前月から11万人の増加となる中、就業者数が19万人増とそれを上回る増加となったため、失業者数は前月に比べ9万人の減少となった。
雇用者数の内訳を産業別に見ると、鉱工業生産の持ち直しを受けて、製造業が前年比4万人増(8月:同1万人増)と3ヵ月連続で増加した。その他の産業では、個人消費の堅調を反映し、卸売・小売業(8月:前年比4万人増→9月:同18万人増)、宿泊・飲食サービス業(8月:前年比6万人増→9月:同18万人増)の増加幅が大きく拡大したが、公共投資、住宅投資の大幅増加が続いているにもかかわらず、建設業が前年比▲3万人減(8月:▲21万人減)と5ヵ月連続で減少した。建設業の求人数が大幅な増加を続ける一方、建設業の労働者が不足しているという労働需給のミスマッチが大きく影響している可能性が高い。

厚生労働省が10月29日に公表した一般職業紹介状況によると、13年9月の有効求人倍率は前月と同水準の0.95倍となった。有効求人数は前月比1.0%と12ヵ月連続で増加したが、有効求職者数が前月比0.4%と4ヵ月ぶりに増加したため、有効求人倍率は7ヵ月ぶりに前月比横ばいにとどまった。ただし、有効求人倍率の先行指標である新規求人倍率は前月から0.03ポイント上昇の1.50倍と07年8月(1.51倍)以来の高水準となっており、労働需給は改善傾向が続いていると判断される。
新規求人数を産業別に見ると、製造業の伸びが8月の前年比5.4%から同16.8%へと大きく加速し、新規求人数全体の伸び(前年比9.2%)を大きく上回った。雇用情勢全体が全体として改善の動きを続ける中、出遅れが目立っていた製造業だが、新規求人数が6月以降、雇用者数が7月以降増加を続けており、ここにきて製造業の回復基調が鮮明となってきた。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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