消費者物価(全国13年9月)~ 総合指数では物価上昇品目数が下落品目数を上回る

2013年10月25日

(斎藤 太郎) 日本経済

■見出し

・コアCPI上昇率は0.1ポイント縮小
・物価上昇の裾野が広がる
・コアCPI上昇率は1%程度まで拡大へ


■要旨

総務省が10月25日に公表した消費者物価指数によると、13年9月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比0.7%(8月:同0.8%)と4ヵ月連続のプラスとなったが、上昇率は前月から0.1ポイント縮小した。コアCPI上昇率のうち、エネルギーによる寄与が0.67%(8月は0.81%)、食料品(生鮮食品を除く)が0.02%(8月は0.00%)、その他が0.01%(8月は▲0.01%)であった。
消費者物価指数の調査対象524品目(生鮮食品を除く)を、前年に比べて上昇している品目と下落している品目に分けてみると、9月の上昇品目数は226品目(8月は220品目)、下落品目数は231品目(8月は240品目)となり、上昇品目数が5ヵ月連続で増加した。上昇品目数の割合は43.1%(8月は42.0%)、下落品目数の割合は44.1%(8月は45.8%)、「上昇品目割合」-「下落品目割合」は▲1.0%(8月は▲3.8%)であった。
9月に下落から上昇に転じた主な品目は、食パン、しょう油、ケチャップ、ぎょうざなどの食料品が目立つが、それ以外でも男子セーター、紙おむつ(乳児用)、プリンタなどが上昇に転じた。9月のコアCPI上昇率は0.1ポイント縮小したが、物価上昇の裾野は広がっている。なお、生鮮食品も含めた総合指数では、09年5月以来、4年4ヵ月ぶりに物価上昇品目数(269品目)が下落品目数(244品目)を上回った。
エネルギー価格の上昇率が高止まりすること、食料品を中心に原材料価格の上昇を価格転嫁する動きが続くこと、13年度中は消費税率引き上げ前の駆け込み需要もあり需給バランスのさらなる改善が見込まれることなどから、コアCPIの上昇率は年末から年度末にかけて1%程度まで高まる可能性が高い。ただし、14年度に入ると消費税率引き上げに伴う景気減速の影響や円安効果の一巡などから伸びは頭打ちとなることが予想される。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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