法人企業統計13年4-6月期 ~企業収益の急回復に伴い設備投資も持ち直し、4-6月期の成長率は大幅上方修正へ

2013年09月02日

(斎藤 太郎) 日本経済

■見出し

・6四半期連続の増益
・企業の設備投資意欲は依然として弱い
・4-6月期・GDP2次速報は大幅上方修正を予想

■introduction

財務省が9月2日に公表した法人企業統計によると、13年4-6月期の全産業(金融業、保険業を除く、以下同じ)の経常利益は前年比24.0%と6四半期連続の増加となり、1-3月期の同6.0%から伸びを大きく高めた。製造業(1-3月期:前年比28.3%→4-6月期:同51.5%)、非製造業(1-3月期:前年比▲3.2%→4-6月期:同11.3%)ともに前年比で二桁の高い伸びとなった。
季節調整済の経常利益は前期比10.5%(1-3月期:同7.1%)と4四半期連続で増加した。製造業(前期比13.1%)、非製造業(前期比9.0%)ともに高い伸びとなったが、特に製造業は3四半期連続で前期比二桁の伸びとなっている。この結果、季節調整値の経常利益は製造業、非製造業ともに東日本大震災前(10年10-12月期)の水準を上回り、非製造業はリーマン・ショック前を上回り過去最高水準となった。
設備投資(ソフトウェアを含む)は前年比+0.0%(1-3月期:同▲3.9%)と3四半期ぶりの増加となった。製造業(1-3月期:前年比▲8.3%→4-6月期:同▲9.1%)は引き続き低調だったが、非製造業(1-3月期:前年比▲1.5%→4-6月期:同5.6%)が3四半期ぶりの増加となったことが、全体を押し上げた。
設備投資は小幅ながらもようやく増加に転じたが、企業収益が急回復していることからすれば、企業の設備投資意欲は依然として弱い。足もとの設備投資の水準はキャッシュフローを大きく下回り、減価償却費並みとなっている。7-9月期はこれまで出遅れが目立っている製造業の設備投資が持ち直しに向かうことで設備投資全体の伸びも高まることが予想されるが、企業の中長期的な成長期待が高まることによって設備投資の回復が本格化するまでには時間を要するだろう。
本日の法人企業統計の結果等を受けて、9/9公表予定の13年4-6月期GDP2次速報では、設備投資の上方修正(前期比▲0.1%→同1.2%)などから、実質GDPが前期比0.9%(前期比年率3.8%)となり、1次速報の前期比0.6%(年率2.6%)から大幅に上方修正されると予想する。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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