貿易統計13年7月 ~貿易赤字が再び拡大

2013年08月19日

(斎藤 太郎) 日本経済

■見出し

・貿易赤字(季節調整値)が再び拡大
・EU向け輸出が持ち直し

■introduction

財務省が8月19日に公表した貿易統計によると、13年7月の貿易収支は▲10,024億円と13ヵ月連続の赤字となり、赤字幅は事前の市場予想(QUICK集計:▲7,800億円、当社予想は▲8,148億円)を大きく上回った。輸出は6月の前年比7.4%から同12.2%へと伸びを高めたが、輸入の伸びが6月の前年比11.8%から同19.6%へと大きく高まったため、前年に比べた貿易収支の悪化幅は前月よりも拡大した。
季節調整済の貿易収支は▲9,440億円と29ヵ月連続の赤字となり、赤字幅は6月の▲6,632億円から拡大した。輸出が前月比▲1.8%(6月:同0.9%)と8ヵ月ぶりの増加となる一方、輸入が前月比2.7%(6月:同▲1.5%)と2ヵ月ぶりの増加となった。四半期平均の貿易赤字(季節調整値)は13年1-3月期の▲8,896億円から4-6月期には▲7,336億円へと縮小したが、7月には再び赤字が拡大する形となった。輸出は基調としては持ち直しの動きを続けているが、国内需要が堅調に推移していることに加え、ここにきて原油高が進んでいることが輸入金額を押し上げている。貿易赤字の拡大傾向には歯止めがかかりつつあるが、縮小ペースは当面は緩やかなものにとどまる可能性が高い。
7月の輸出数量指数を地域別に見ると、米国向けが前年比0.5%(6月:同▲6.3%)、EU向けが前年比1.9%(6月:同▲8.4%)、アジア向けが前年比▲1.6%(6月:同▲4.0%)となった。季節調整値(当研究所による季節調整値)では、米国向けが前月比0.7%、EU向けが同4.0%、アジア向けが同▲1.7%、全体では同0.9%となった。
景気が堅調に推移する米国向けが自動車を中心に好調を維持しており、4-6月期に7四半期ぶりにマイナス成長を脱したEU向けも持ち直しつつあるが、アジア向けはやや低調な動きとなっている。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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