【アジア新興経済レビュー】金融市場は総じて下落、実体経済は自動車販売が懸念材料

2013年07月01日

(高山 武士) 欧州経済

  1. (実体経済)
    6月のアジア新興国・経済の各種指標は、5月に引き続き、生産や輸出で伸び悩みが続いた。注目は、自動車販売台数が総じて不調となっている点であり、今まで底堅かったASEAN主要国を含めて内需が弱含みはじめた可能性が懸念される。当面はこの不調が一過性なのか見極める必要があるだろう。
  2. (インフレ率)
    インフレ率では、インドネシアでは、目標値の上限付近で推移するなど物価高圧力が強まっているが、その他の国・地域では総じて低い伸び率に留まっている。
  3. (金融政策)
    こうした状況の中、インドネシア中銀は6月には利上げに踏み切っている。一方、その他の国・地域では、タイや韓国など5月以前に利下げに踏み切っており、懸念材料だった通貨高も一服したことで、6月は様子見姿勢となった。特に、インド中銀は足もとで進む通貨安への懸念を強めており、政策金利据え置きの要因になったと見られる。
  4. (7月の注目点)
    7月は台湾の馬政権での主要政策となる「自由経済モデル区」が開始される。馬政権の目玉政策だっただけに、その動向は注目だろう。また、韓国と台湾で4-6月期GDPが公表される。生産活動が伸び悩むなか、成長率がどれだけ改善したのか注目される。

経済研究部   主任研究員

高山 武士(たかやま たけし)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴

【職歴】
 2002年 東京工業大学入学(理学部)
 2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
 2009年 日本経済研究センターへ派遣
 2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
 2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
 2014年 同、米国経済担当
 2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
 2020年 ニッセイ基礎研究所
 2023年より現職

【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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