経済研究部 主席エコノミスト
上野 剛志(うえの つよし)
研究領域:金融・為替
研究・専門分野
金融・為替、日本経済
■見出し
・個人金融資産(13年3月末):前期比では27兆円増
・資金流出入の詳細:リスク性資産へ資金がシフト
・部門別資金過不足等:企業の手元資金が過去最高を更新
■introduction
2013年3月末の個人金融資産残高は、前年比54兆円(3.6%)増の1571兆円となった 。前年比伸び率は07年6月末以来、残高は07年9月末以来の高水準である。12年度の一年間に26兆円の資金流入があったうえ、時価が28兆円増加したため、金融資産が大きく増加した。
個人金融資産への資金流出入について詳細を見ると、現預金からの資金流出が例年を上回る一方で、投資信託への資金流入額が2.5兆円と6年ぶりの高水準を記録、株式・出資金も前年の流出超過から流入超過へと転じている。投資環境の改善が続いたことで、家計の投資マインドに変化が生まれたようだ。
国債の残高については、財政赤字の影響で969兆円と前年比で49兆円増加し、過去最高を更新した。海外投資家の保有額が減少する一方、度重なる追加緩和によって日銀保有分は128兆円と大きく増加している。
また、民間非金融法人の現預金残高も225兆円と過去最高を記録。民間設備投資は未だ力強さを欠いており、企業は余剰資金を現預金として積み上げている。この大量の資金が今後投資に回るのかどうかが、アベノミクスの成否の大きなカギとなる。
経済研究部 主席エコノミスト
研究領域:金融・為替
研究・専門分野
金融・為替、日本経済
・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)