経済研究部 経済調査部長
斎藤 太郎(さいとう たろう)
研究領域:経済
研究・専門分野
日本経済、雇用
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■見出し
・輸出が1年ぶりに前年比で二桁の伸びに
・輸出の持ち直しが継続
■introduction
財務省が6月19日に公表した貿易統計によると、13年5月の貿易収支は▲9,939億円と11ヵ月連続の赤字となったが、赤字幅は事前の市場予想(QUICK集計:▲11,895億円、当社予想は▲11,553億円)を大きく下回った。円安に伴う輸出入価格の大幅上昇を主因として、輸出(4月:前年比3.8%→5月:同10.1%)、輸入(4月:前年比9.5%→5月:同10.0%)ともに前年比で二桁の伸びとなった。輸出が前年比で二桁の伸びとなったのは、12年5月以来1年ぶりである。
季節調整済の貿易収支は▲8,210億円と27ヵ月連続の赤字となり、4月の▲7,028億円から赤字幅が拡大した。輸出は前月比3.2%(4月:同0.6%)と前月から伸びを高めたが、輸入が前月比4.7%(4月:同▲2.4%)と3ヵ月ぶりの増加となり、輸出の伸びを上回った。季節調整済の貿易赤字は3ヵ月ぶりに拡大したが、基調としては貿易赤字の拡大傾向には歯止めがかかりつつあると判断される。四半期ベースの貿易赤字は13年1-3月期がピークとなり、4-6月期以降は徐々に縮小傾向となることが見込まれる。
5月の輸出数量指数を地域別に見ると、米国向けが前年比▲8.7%(4月:同4.5%)、EU向けが前年比▲17.9%(4月:同▲12.6%)、アジア向けが前年比▲1.7%(4月:同▲5.0%)となった。季節調整値(当研究所による試算値)では、米国向けが前月比▲9.3%(4月:同12.6%)、EU向けが同▲2.4%(4月:同1.3%)、アジア向けが同2.9%(4月:同0.2%)、全体では同0.5%(4月:同0.5%)であった。
米国向けの輸出数量は大幅に低下したが、前月の高い伸びの反動によるところが大きい。4、5月の平均を1-3月期と比較すると、米国向けが8.8%、EU向けが0.5%、アジア向けが2.3%高い水準となっており、景気が比較的堅調な米国向けが輸出を牽引するという構図が維持されている。
1-3月期のGDP統計では、輸出が前期比3.8%の増加となり、4四半期ぶりに成長率の押し上げ要因となったが、円安による押し上げ効果がさらに拡大することにより、4-6月期も輸出は高めの伸びとなる可能性が高い。
経済研究部 経済調査部長
研究領域:経済
研究・専門分野
日本経済、雇用
・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員