中国保険市場の最新動向(1)求められる医療・年金改革の実感 -習近平政権は国民の期待に応えられるか-

2013年05月21日

(片山 ゆき) 中国・アジア保険事情

■要旨


1-国民が最も注目している問題は「社会保障」
  3月にスタートした習近平政権。政府系ネットの調査によると、新たな体制の下、国民が最も関心を寄せているのは社会保障(問題)である。特に、年金については財政の悪化、支給開始年齢の引上げ、制度の一元化とこれまで放置してきた問題が顕在化している。


2-社会保障(年金)-高まる官民格差への不満
  都市の就労者を対象とした年金制度において、平均受給額はおよそ1700元。それに対して公務員を対象とする制度では9割以上が4000元以上受給しているとされている。公務員が受け取る年金の所得代替率は80~90%と高く、官民格差への不満は高まる一方である。


3-医療改革-国民の厳しい評価
  医療についても年金と同様に大きな関心が寄せられている。中国では2009年以降、医療制度を改革しているが、現時点では国民がそれを実感できていない状態にある。改革の最終期である2020年までにはその成果が国民に伝わることを期待したい。



保険研究部   主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任

片山 ゆき(かたやま ゆき)

研究領域:保険

研究・専門分野
中国の社会保障制度・民間保険

経歴

【職歴】
 2005年 ニッセイ基礎研究所(2022年7月より現職)
 (2023年 東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士後期課程修了) 【社外委員等】
 ・日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
 (2019年度・2020年度・2023年度)
 ・生命保険経営学会 編集委員・海外ニュース委員
 ・千葉大学客員准教授(2023年度~) 【加入団体等】
 日本保険学会、社会政策学会、他
 博士(学術)

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