低運用利回りに対する取組み-更なる金融緩和強化の中で、運用者による創意工夫を

2013年04月16日

(德島 勝幸) 公的年金

■要旨

新しい日銀執行部の導入した量的・質的金融緩和を受けて、債券市場では、更なる低金利が進み、同時に、金利水準の変動性が拡大する環境となっている。

保険や年金のような、一定の利回りを運用で賄うことが期待されている業態にとっては、低金利の中で十分な利回り獲得を求められる、極めて厳しい状況である。

まず、最優先の取組みとしては、負債側の予定利率の引下げを検討することが望ましい。しかし、負債コストの引下げは、受給者等に対し大きな影響が及ぶため、容易には実施できないし、安易に実施するべきでもない。

当面の対応としては、新しい投資対象拡大も含めた資産構成の変更や各々の資産内での利回り拡大策といった資産運用側の創意工夫によって乗り越えるしかない。

同時に、柔軟な運用方針を確立することで、今後の市場変化に対応して行くべきだろう。

金融研究部   取締役 研究理事 兼 年金総合リサーチセンター長 兼 ESG推進室長

德島 勝幸(とくしま かつゆき)

研究領域:年金

研究・専門分野
債券・クレジット・ALM

経歴

【職歴】
 ・1986年 日本生命保険相互会社入社
 ・1991年 ペンシルバニア大学ウォートンスクールMBA
 ・2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社に出向
 ・2008年 ニッセイ基礎研究所へ
 ・2021年より現職

【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会検定会員
 ・日本ファイナンス学会
 ・証券経済学会
 ・日本金融学会
 ・日本経営財務研究学会

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