消費者物価(全国13年2月)~コアCPIは13年度前半には上昇へ

2013年03月29日

(斎藤 太郎) 日本経済

■見出し


・コアCPIは4ヵ月連続のマイナス
・物価下落品目数の割合は8ヵ月連続で50%を上回る
・コアCPIは13年度前半には上昇へ

■introduction

総務省が3月29日に公表した消費者物価指数によると、13年2月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比▲0.3%(1月:同▲0.2%)と4ヵ月連続のマイナスとなり、下落率は前月から0.1ポイント拡大した。
コアCPIの内訳をみると、電気代(1月:前年比4.0%→2月:同3.5%)、ガス代(1月:前年比1.8%→2月:同1.3%)の上昇幅が若干縮小する一方、ガソリン(1月:前年比4.6%→2月:同8.1%)、灯油(1月:前年比7.5%→2月:同12.6%)の上昇幅が拡大したため、エネルギー価格の上昇率は1月の前年比3.9%から同5.0%へと高まった。
一方、昨年2月に調査銘柄変更に伴い指数水準が急上昇したテレビが、その影響が一巡したことにより1月の前年比6.2%から一転して同▲28.9%の大幅下落となり、これだけでコアCPIの下落率は前月に比べ▲0.3ポイント程度押し下げられた。
コアCPI上昇率のうち、エネルギーによる寄与が0.44%(1月は0.34%)、食料品(生鮮食品を除く)が▲0.11%(1月は▲0.11%)、その他が▲0.63%(1月は▲0.43%)であった。
全国のコアCPIは下落率が拡大したが、銘柄入れ替えという技術的な要因でテレビが大幅な下落となったことが主因で、基調として物価下落が加速しているわけではない。
前年と比べたガソリン価格の伸び率は昨年春頃の水準が高かった影響でいったん低下するが、ガソリン価格自体は原油高、円安を反映し高止まりしており、夏場にかけて伸び率が再び高まることが見込まれる。さらに、5月には関西電力、九州電力などで電気料金の値上げが予定されていること、円安の影響が輸入物価の上昇を通じて国内物価に波及することなどから、13年度入り後にはマイナス幅が縮小し、年度前半には上昇に転じることが予想される。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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