仙台オフィス市場の現況と見通し(2012年度版)

2013年02月21日

(竹内 一雅)

■見出し

はじめに
1― 仙台オフィス市場の需給状況
2― 仙台の空室率・賃料および空室・賃貸面積の推移
3― 仙台の規模別空室率
4― 仙台の地区別空室・賃貸状況
5― 仙台の新築・既存ビル別稼動状況
6― 仙台の地区別新築・既存ビル別稼動状況
7― 仙台の人口動向
8― 仙台のオフィス賃料見通し
おわりに

■introduction

現在、仙台はオフィスビルの空室率が大幅に下落するなど、全国で最もオフィス市況の改善が顕著な都市のひとつである。こうした活況は、震災復興事業とその波及効果よる影響が大きいと思われる。2009年まで転出超過だった仙台市の人口移動は、2011年から大幅な転入超過に転じ、2012年には大阪市や名古屋市などの主要都市を上回ったこともその影響のひとつと考えられる。

本稿では、活況にある仙台のオフィス市場の現況を、オフィス賃料・空室率の状況、オフィスの空室面積・賃貸面積、オフィス規模別・地区別・新築/既存ビル別の賃貸状況、人口の転入動向などから把握するとともに、オフィス賃料の将来予測を行った。

賃料の将来予測では、仙台のオフィス賃料は、標準シナリオの場合2015年まで上昇(2012年と比べ+5.1%の上昇)し、その後下落が始まるという結果が得られた。

仙台のオフィス市場の活況は、震災復興事業に下支えされていると考えられるが、復興事業はいつまでも続くわけではない。震災復興事業は2015年度までの集中復興期間には毎年5兆円程度の復興予算が確保されているが、2016年度から2020年度までは年間1兆円程度に減少する見込みである。

2016年度以降、復興事業の縮小によるオフィス需要の減少を最小限にとどめ、あるいは維持・拡大するために、2015年度あるいは遅くとも2018年度頃までのわずかな期間で、仙台市の産業およびオフィス市場をより自立的なものへと転換を図る必要がある。そのためには、仙台市の総合計画などでうたわれている以上に、自立的な産業の振興、人が集まり人口が増加するシステムの構築、魅力ある街づくりを進めることが求められる。集中復興期間の終了後も、オフィス市場を含めた現在の仙台市の活況を維持するために、より多くのアイデアと努力が必要と思われる。

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