経済研究部 主席エコノミスト
上野 剛志(うえの つよし)
研究領域:金融・為替
研究・専門分野
金融・為替、日本経済
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1月の金融市場は、日銀による2%の物価目標導入や追加緩和期待から円安・株高基調が継続。長期金利も補正予算編成に伴う財政懸念から一旦上昇した後、緩和期待により低下している。ただし、これまで一本調子に進んできた円安も直近は要人発言によって乱高下するなど変化が見られる。円為替は従来、米経済や欧州危機など海外情勢次第という側面が強かっただけに、国内政治要因による現在の円安はいわば未知の世界であり、持続性への警戒感も強いとみられる。
2月はイタリアの総選挙というリスクイベントに注意が必要。また、米債務上限は短期延長される見込みだが、火種の先送りに過ぎない。一方で国内では日銀総裁人事が控えているため当面は緩和期待が続き、本格的な調整は避けられそう。しかし、その後は出尽くし感から一旦調整が入りやすい地合いになると予想。また、海外からの批判拡大も円安に対する逆風となりそうだ。以上より、半年後のドル円相場は現状比でやや円高と見る。ユーロは世界的なリスク選好の中で上昇しているが、過大評価されている印象。実体経済の厳しさや南欧情勢への不安から次第に修正され、半年後には対ドル以上の円高を予想する。
長期金利については、半年という時間軸では、米国経済の持ち直しに伴う米金利上昇につれて緩やかに上昇すると見ているが、金融緩和期待という金利低下圧力と財政懸念という金利上昇圧力が並存しており、局面ごとの力関係の変化によって、安定感を欠きそうだ。
(執筆時点:2013/1/21)
経済研究部 主席エコノミスト
研究領域:金融・為替
研究・専門分野
金融・為替、日本経済
・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)