消費者物価(全国12年12月)~コアCPIのマイナス幅は春にかけていったん拡大へ

2013年01月25日

(斎藤 太郎) 日本経済

■見出し

・コアCPIは2ヵ月連続のマイナス
・物価下落品目数の割合は6ヵ月連続で50%を上回る
・コアCPIの下落率は春にかけていったん拡大へ

■introduction

総務省が1月25日に公表した消費者物価指数によると、12年12月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比▲0.2%(11月:同▲0.1%)となり、下落率は前月から0.1ポイント拡大した。事前の市場予想(QUICK集計:▲0.2%、当社予想も▲0.2%)通りの結果であった。
コアCPIの内訳をみると、電気代(11月:前年比4.8%→12月:同4.4%)、ガス代(11月:前年比2.5%→12月:同2.3%)の上昇幅が若干縮小する一方、ガソリン(11月:前年比2.6%→12月:同2.8%)、灯油(11月:前年比3.4%→12月:同3.9%)の上昇幅が若干拡大したため、エネルギー価格の上昇率は前年比3.4%と11月の同3.5%からほぼ変わらなかった。コアCPI上昇率のうち、エネルギーによる寄与が0.30%(11月は0.31%)、食料品(生鮮食品を除く)が▲0.09%(11月は▲0.07%)、その他が▲0.41%(11月は▲0.34%)であった。
円安の影響を主因としてガソリン店頭価格は7週連続で上昇しているが、昨年春頃の水準が高かったこともあり、前年比で見たガソリン価格の伸び率はいったん大きく低下する可能性が高い。昨年2月に新製品投入の影響で急上昇したテレビがその反動で13年2月以降は下落率が大きく拡大することもコアCPIが押し下げるだろう。コアCPIの下落率は春にかけていったん拡大する可能性が高い。ただし、昨年の東京電力に続き関西電力、九州電力などで電気料金の値上げが見込まれること、円安の影響が輸入物価の上昇を通じて国内物価に波及することなどから、13年度入り後にはマイナス幅が縮小し、年度前半には上昇に転じることが予想される。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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