経済研究部 経済調査部長
斎藤 太郎(さいとう たろう)
研究領域:経済
研究・専門分野
日本経済、雇用
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■見出し
・大幅な貿易赤字が続く
・輸出は低迷が続くが、年明け以降持ち直しへ
・10-12月期の外需寄与度は前期比▲0.3%程度のマイナスに
■introduction
財務省が1月24日に公表した貿易統計によると、12年12月の貿易収支は▲6,415億円と6ヵ月連続の赤字となり、赤字幅は事前の市場予想(QUICK集計:▲5,370億円、当社予想は▲6,042億円)を上回った。輸入が前年比1.9%(11月:同0.9%)と伸びを高める一方、輸出の減少幅が11月の前年比▲4.1%から同▲5.8%へと拡大したため、前年に比べた貿易収支の悪化幅は前月よりも拡大した。
季節調整済の貿易収支は▲8,007億円と22ヵ月連続の赤字となったが、11月の▲8,521億円から赤字幅が若干縮小した。輸出入ともに前月比で増加したが、輸出の伸び(前月比2.4%)が輸入の伸び(同1.2%)を上回ったことが赤字幅縮小に寄与した。ただし、貿易赤字額は年率換算値で10兆円弱、名目GDP比で2%程度の高水準となっている。
10-12月期の輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)で見ると、米国向けが前期比▲5.7%(7-9月期:同▲6.5%)、EU向けが前期比▲5.4%(7-9月期:同▲6.4%)、アジア向けが前期比▲1.7%(7-9月期:同▲4.5%)、全体では前期比▲2.4%(7-9月期:同▲5.1%)となった。
7-9月期に続き10-12月期も主要3地域向けの全てが前期比でマイナスとなったが、いずれも7-9月期に比べれば低下幅は縮小した。海外経済が中国を中心に持ち直しつつある中、大幅な円安が進行するなど輸出を取り巻く環境はここにきて改善している。輸出は12年度中には下げ止まる可能性が高いだろう。
2月までの貿易統計と11月までの国際収支統計の結果を踏まえて、10-12月期の実質GDPベースの財貨・サービスの輸出入を試算すると、輸出が前期比▲3%台後半の減少、輸入が▲2%台半ばの減少となることが見込まれる。この結果、10-12月期の外需寄与度は前期比▲0.3%と3四半期連続のマイナスとなるが、7-9月期(同▲0.7%)に比べれば成長率の押し下げ幅は縮小することが予想される。
当研究所では鉱工業生産、建築着工統計、家計調査等の結果を受けて、2/1のweeklyエコノミストレターで10-12月期の実質GDP成長率の予測を公表する予定である。現時点では、外需寄与度はマイナスとなるが、住宅投資、公的固定資本形成を中心とした国内需要の増加がそれを相殺することにより、ほぼゼロ成長になると予想している。
経済研究部 経済調査部長
研究領域:経済
研究・専門分野
日本経済、雇用
・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員