12月の中国・アジア経済:中国の景気指標は3ヵ月連続の改善となるか、インドでは物価動向と中銀の金融政策スタンスに注目

2012年11月30日

(三尾 幸吉郎)

(高山 武士)

  1. 中国経済は、7-9月期の国内総生産(GDP)が前年同期比7.4%増と、7四半期連続で前四半期を下回るなど減速傾向が続いていたが、中国人民銀行(中央銀行)が金融緩和を行い、中国政府が公共投資の前倒しで内需振興を図ったことから、消費・投資・輸出の3つの柱が、9・10月と2ヵ月連続で改善傾向を示した。今回の指標発表では、11月もこの回復トレンドが維持できるか否かが注目される。
  2. 12月はアジア新興国・地域のインフレ率が発表される。東南アジアでは、韓国・台湾・フィリピンなど、一部の国で悪天候によるインフレ率の上昇が見られていたが、最近は低下基調にある。11月もインフレ圧力は強くなく、総じて安定的に推移したと考えられる。
  3. 一方、インドのインフレ率は依然として高止まりしている。供給制約に加えて、軽油価格が補助金の削減のために引き上げられるなど、インフレ圧力は強い。18日には金融政策決定会合が開催されるが、インフレ率が高止まりしているため、中央銀行は政策金利を据え置く可能性が高いと考えている。ただし、今後の金融政策の動向を見極める上で、中銀のコメントは注目と言えるだろう。


 
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