11月ECB政策理事会:市場の緊張は緩和も経済活動は弱い

2012年11月09日

(伊藤 さゆり) 欧州経済

 欧州中央銀行(ECB)は8日に11月の政策理事会を開催、政策金利の据え置きを決めた。
9月の国債買い入れプログラム・OMTの導入以来、市場の緊張は緩和しているが、市場の分断は解消してはおらず、景気下げ止まりの兆しも見えない。ドラギ総裁は12月の経済見通しの下方修正を示唆したが、インフレ・リスクは広くバランスしているとの見方を維持、追加利下げの選択肢を留保するが、実際に踏み切る可能性は高くないと思われる。
スペインに対する無条件OMTの発動、ギリシャ政府の債務負担軽減のための損失負担は否定、近く早期返済期限が到来する3年物資金供給(LTRO)は、テールリスクの封じ込めという目的は達成したとの見方を示した。

経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり(いとう さゆり)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

経歴

・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職

・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
           「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員

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