資金循環統計(12年4-6月期)~個人金融資産は前年比2兆円増の1515兆円

2012年09月20日

(上野 剛志) 金融市場・外国為替(通貨・相場)

■見出し

・個人金融資産(12年6月末): 前期比では3兆円減
・資金流出入の詳細: リスク回避姿勢は継続
・部門別資金過不足等: 海外の国債保有比率が過去最高に

■introduction

2012年6月末の個人金融資産残高は、前年比2兆円(0.1%)増の1515兆円となった。2011年6月末以降の一年間に17兆円の資金流入(フロー)があったが、この間の時価減少が15兆円に達し、流入額の殆どが相殺された形だ。

四半期ベースでは、前期(12年1-3月)末比で3兆円の減少となった。例年4-6月期は一般的な賞与支給月を含むことからフローで流入超過となる傾向があり、言わば"家計が潤う時期"にあたる。今回もフローは11兆円の流入超過となったが、欧州危機緊迫化等に伴って円高・株安が進行したことによる時価の減少が14兆円(うち株式・出資金が9兆円、投資信託が5兆円)に達し、流入額を上回った。1-3月期には円安・株高により22兆円の時価増加が発生していたが、4-6月期にその2/3が失われた計算となる(図表1~4)。

経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志(うえの つよし)

研究領域:金融・為替

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴

・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

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