マレーシア4-6月期GDP:前年同期比+5.4%~「本物」の内需主導による成長が見えてきた

2012年08月16日

(高山 武士) 欧州経済

■見出し

・現状:投資中心に内需が堅調
・「本物」の内需が活性化

■introduction

マレーシア統計庁(DOSM)は8月15日に2012年4-6月期の国内総生産(GDP)を公表した。実質GDP成長率は前年同期比(原系列)で5.4%の増加となり、1-3月期の前年同期比+4.6%から成長が加速したことが明らかになった。
成長率の内訳を需要項目別に見ると(図表1)、内需の強さが顕著に表れている。特に投資は4-6月期に前年同期比+26.1%と1-3月期(同+16.1%)から大きく加速した。官民の投資がともに堅調で、民間投資ではサービス産業やエネルギー産業、製造業を中心に前年同期比+24.6%の高成長を記録、公共投資も前年同期比+28.9%の大幅増となった。また、個人消費についても、4-6月期は前年同期比+8.8%と1-3月期(同+7.4%)から加速、堅調さを維持している。
輸出については、4-6月期は前年同期比+2.1%と1-3月期(同+2.8%)の伸びを若干下回った。その一方で、輸入は内需の強さを反映して前年同期比+8.1%と1-3月期(同+6.8%)から加速したため純輸出の成長への寄与で見ると▲4.9%ポイントと大幅マイナスとなった。
供給側(図表2)を見ると、建設業の寄与の拡大が目立つ。4-6月期の伸び率では前年同期比+22.2%と1-3月期(同+15.5%)を上回り、2期連続の2桁成長を記録している。また、主要産業のサービス業と製造業も好調で、それぞれ前年同期比+6.3%、+5.6%となり、1-3月期(同+5.3%、4.4%)から加速、成長率の押し上げ要因となっている。農林水産業はパーム油の収穫低迷などで前年同期比▲4.7%とマイナス成長に転じたが、成長への寄与で見るとそれほど大きくなく、全体として見れば好調と言って良いだろう。

経済研究部   主任研究員

高山 武士(たかやま たけし)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴

【職歴】
 2002年 東京工業大学入学(理学部)
 2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
 2009年 日本経済研究センターへ派遣
 2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
 2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
 2014年 同、米国経済担当
 2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
 2020年 ニッセイ基礎研究所
 2023年より現職

【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会 検定会員

レポートについてお問い合わせ
(取材・講演依頼)

関連カテゴリ・レポート