8月ECB政策理事会:新たな国債買い入れプログラム立ち上げの方針を表明

2012年08月03日

(伊藤 さゆり) 欧州経済

欧州中央銀行(ECB)が2日に8月の政策理事会を開催、政策金利の据え置きを決定するとともに、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)/欧州安定メカニズム(ESM)との連携を前提とする新たな国債買い入れのプログラムを立ち上げることと追加的な非標準的手段の検討を進める「方針」を示した。
市場では、最近のドラギ総裁の発言から、証券市場プログラム(SMP)再開などの即時かつ大規模な政策への期待が高まっていたため、即効性と具体性を欠く今回の決定への失望が広がった。だが、EFSF/ESMとの連携によるECBの国債買い入れは、ECBのSMPとEFSF/ESMが直面していた問題を解決し、国債市場の不安の連鎖に歯止めを掛けるプログラムとなる可能性はある。今後の協議の行方は大いに注目されよう。

経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり(いとう さゆり)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

経歴

・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職

・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
           「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員

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