消費者物価(全国12年6月)~コアCPIは2ヵ月連続のマイナス

2012年07月27日

(斎藤 太郎) 日本経済

■見出し

・コアCPIは2ヵ月連続のマイナス
・コアCPIはゼロ近傍の推移が続く見込み

■introduction

総務省が7月27日に公表した消費者物価指数によると、12年6月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比▲0.2%(5月:同▲0.1%)と2ヵ月連続のマイナスなり、下落率は前月から0.1ポイント拡大した。
コアCPIの内訳をみると、電気代(5月:前年比5.6%→6月:同5.4%)、ガス代(5月:前年比5.1%→6月:同4.9%)は高い伸びを維持したが、これまで長期にわたり上昇を続けてきたガソリン(5月:前年比0.9%→6月:同▲3.2%)が2年7ヵ月ぶり、灯油(5月:前年比0.9%→6月:同▲2.9%)が2年6ヵ月ぶりに下落に転じたため、エネルギー価格の上昇率は5月の前年比3.7%から同2.0%へと大きく縮小した。
また、新製品投入の影響で2月に前年比でプラスに転じたテレビは、5月に前年比▲0.4%と4ヵ月ぶりに下落に転じた後、6月は同▲6.1%まで下落幅が拡大した。
コアCPI上昇率のうち、エネルギーによる寄与が0.17%(5月は0.31%)、食料品(生鮮食品を除く)が0.02%(5月は▲0.02%)、その他が▲0.39%(5月は▲0.39%)であった。
約2年半ぶりに下落に転じたガソリン、灯油価格は当面前年比マイナスで推移する可能性が高いが、政府が東京電力の家庭向け電気料金の値上げを認可したため(9/1から値上げ幅は8.46%)、電気代の上昇率は9月以降再び高まることが見込まれる。エネルギー関連を除いた物価の基調に大きな変化が見られないことから、コアCPI上昇率は当面ゼロ近傍で推移することが予想される。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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