消費税率引き上げによる経済への影響試算(2013~2016年度)

2012年07月13日

(斎藤 太郎) 日本経済

  1. 消費税率が2014年4月に8%へ、2015年10月に10%へ引き上げられる可能性が高くなったことを受けて、消費税率引き上げによる実質GDPへの影響を2013年度から2016年度まで試算した。
  2. 2013年度は増税前に個人消費、住宅投資の駆け込み需要が発生し、実質GDPは0.7%押し上げられる。駆け込み需要は年度末にかけて拡大し、税率引き上げ直前の2014年1-3月期には成長率を前期比1.5%(年率6.1%)押し上げると試算される。
  3. 2014年度は駆け込み需要の反動減(▲0.7%)と物価上昇に伴う実質所得の低下による影響(▲0.7%)が重なるため、実質GDPは▲1.4%押し下げられる。実質GDP成長率への影響は▲2.1%と非常に大きなものとなるため、2014年度はマイナス成長となる可能性が高い。2015年10月からの税率の再引き上げが困難となる事態も考えられる。
  4. 消費税率引き上げに伴う実質GDPのベースラインからの乖離は、2013年度が+0.7%、2014年度が▲1.4%、2015年度が▲1.5%、2016年度が▲1.9%、実質GDP成長率への影響は2013年度が+0.7%、2014年度が▲2.1%、2015年度が▲0.1%、2016年度が▲0.4%と試算される。



経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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