6月マネー統計~投資信託が過去最大のマイナスに

2012年07月10日

(上野 剛志) 金融市場・外国為替(通貨・相場)

■見出し

・貸出動向:9ヵ月連続の前年比プラス
・マネタリーベース:プラス幅を拡大、過去3番目の高水準
・マネーストック:投資信託が過去最大のマイナスに

■introduction

日銀が発表した6月の貸出・資金吸収動向等によると、銀行総貸出(平残)の前年比伸び率は0.8%と前月(同0.4%)から伸び率が拡大した。業態別で見ると、地銀が前年比2.3%増(前月は同2.1%増)、都銀等が同0.7%減(前月は1.3%減)と、依然として都銀はマイナス圏ながら今回マイナス幅がかなり縮小した。盛り上がりは欠くものの銀行貸出は緩やかな増加基調にあり、従来同様、「電力会社向け融資」、「M&A資金」、「復興関連需要」の3本柱が寄与しているとみられる(図表1~5)。
なお、7月2日に公表された日銀短観6月調査における企業の12年度設備投資計画は、前年比4.5%増と近年まれに見る明確なプラス、かつ3月調査からの上方修正幅も大きめとなった。これまで長らく抑制されてきた反動などが反映された可能性がある。あくまでも計画ベースではあるが、計画が実行に移されれば資金需要が喚起され貸出の本格回復要因ともなり得るだけに、動向が注目される(図表6)。

経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志(うえの つよし)

研究領域:金融・為替

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴

・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

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