7月ECB政策理事会:6月首脳会議合意を引き継ぎ、25bpの利下げを決定

2012年07月06日

(伊藤 さゆり) 欧州経済

欧州中央銀行(ECB)が5日に7月の政策理事会を開催、11年12月以来となる25bpの利下げを決めた。利下げ後の主要オペ金利は0.75%、預金ファシリティー金利は0%、限界貸付ファシリティー金利は1.5%で、いずれも創設以来の最低水準である。足もとの景気の落ち込みへの対応と6月のEU首脳会議合意をサポートする目的があると思われ。
しかしながら、南部のユーロ圏が陥っている財政-金融-景気の悪循環という根本の問題に歯止めが掛からなければ、市場の分断解消への利下げの効果は限られるだろうし、貸出の伸び悩みも続くだろう。追加の3年物資金供給も、市場の分断の根本の原因が解消しなければ効果は限られる。国債買い入れにおけるECBの役割はEFSF/ESMのエージェントにシフトして行くだろう。

経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり(いとう さゆり)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

経歴

・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職

・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
           「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員

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