消費者物価(全国12年4月)~コアCPIは再びマイナスに転じる可能性も

2012年05月25日

(斎藤 太郎) 日本経済

■見出し

・コアCPIは3ヵ月連続のプラス
・物価上昇品目数が2ヵ月ぶりに増加
・コアCPIは再びマイナスに転じる可能性も

■introduction

総務省が5月25日に公表した消費者物価指数によると、12年4月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比0.2%(3月:同0.2%)と3ヵ月連続のプラスとなった。事前の市場予想(QUICK集計:0.1%、当社予想も0.1%)を上回る結果であった。
コアCPI上昇率のうち、エネルギーによる寄与が0.46%(3月は0.48%)、食料品(生鮮食品を除く)が▲0.07%(3月は0.07%)、その他が▲0.19%(3月は▲0.35%)であった。
12年5月の東京都区部のコアCPIは前年比▲0.8%(4月:同▲0.5%)となり、下落率は前月から0.3ポイント拡大した。事前の市場予想(QUICK集計:▲0.6%、当社予想も▲0.6%)を下回る結果であった。ガソリン価格が前年比0.0%(4月:同3.6%)となるなど、エネルギー価格が4月の前年比7.7%から同6.1%へと低下したこと、テレビの下落率が4月の前年比▲4.6%から同▲21.6%へと大きく拡大したことがそれぞれコアCPIを0.1ポイント程度押し下げた。
ガソリン店頭価格は4月初旬には160円(レギュラー、全国平均)近くまで上昇したが、原油価格の下落を受けて7週連続で下落し、足もとでは150円割れとなっている。これまで物価を大きく押し上げてきたガソリン価格は夏場にかけて前年比マイナスとなる可能性が高くなってきた。火力発電の燃料費増加を受けて電気代が値上げされる可能性が高くなっていることもあり、エネルギー全体の上昇は維持されるものの、プラス幅は大きく縮小することが見込まれる。
コアCPI上昇率は当面ゼロ近傍の推移が続くことが予想されるが、原油、為替動向次第では再びマイナスに転じる可能性もあるだろう。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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