台湾2012年1-3月期GDP:前年同期比+0.36%~電子産業は底打ちも、力強い成長は見込めず

2012年05月01日

(高山 武士) 欧州経済

■見出し

・現状:予想以上の低迷
・先行き:電子産業は最悪期から脱出、ただしインフレ懸念が浮上

■introduction

台湾の行政院主計処(DGBAS)は4月30日、1-3月期の実質域内総生産(GDP)の速報値を公表した。成長率は前年同期比(原系列)で0.36%の増加となり、昨年2月時点で同機関が予測していた前年同期比+1.19%を大幅に下回る結果となった。
実質GDP成長率を需要項目別に見ると(図表1)、外需が成長を阻害していることが分かる。純輸出の寄与度は+1.97%ポイントと10-12月期(同+4.77ポイント)と比較すると大幅に低下した。これは特に、輸出が前年同期比▲3.28%と10-12月期(同+0.78%)からマイナスへ転じた影響が大きい。こうした外部環境の低迷を受けて、国内の投資も冴えない状態が続いている。資本形成(投資+在庫変動)は前年同期比▲14.94%と10-12月期(同▲19.40%)よりは若干回復しているものの、3四半期連続でのマイナスとなった。個人消費に関しても、前年同期比+1.52%と前期(同+0.98%)に続き、依然として弱い伸び率であった。
供給側を見ると(図表2)、成長の牽引役である製造業が前年同期比▲2.57%と10-12月期(同▲1.80%)に続き、2四半期連続のマイナス成長となり、成長を抑制していることが分かる。サービス業も、卸・小売業が前年同期比▲0.32%と10-12月期(同+1.67%)からマイナス成長に転じるなど、多くの産業で低迷している。

経済研究部   主任研究員

高山 武士(たかやま たけし)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴

【職歴】
 2002年 東京工業大学入学(理学部)
 2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
 2009年 日本経済研究センターへ派遣
 2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
 2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
 2014年 同、米国経済担当
 2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
 2020年 ニッセイ基礎研究所
 2023年より現職

【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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