消費者物価(全国12年3月)~コアCPI上昇率は小幅なプラスが続く見込み

2012年04月27日

(斎藤 太郎) 日本経済

■見出し

・コアCPIは市場予想を上回り2ヵ月連続のプラス
・物価下落品目数の割合が再び50%を上回る
・コアCPIは小幅なプラスが続く見込み

■introduction

総務省が4月27日に公表した消費者物価指数によると、12年3月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比0.2%(2月:同0.1%)となり、上昇率は前月から0.1ポイント拡大した。事前の市場予想(QUICK集計:0.1%、当社予想は0.2%)を上回る結果であった。
コアCPI上昇率のうち、エネルギーによる寄与が0.48%(2月は0.42%)、食料品(生鮮食品を除く)が0.07%(2月は0.09%)、その他が▲0.35%(2月は▲0.41%)であった。
消費者物価指数の調査対象524品目(生鮮食品を除く)を、前年に比べて上昇している品目と下落している品目に分けてみると、2月の上昇品目数は199品目(2月は205品目)、下落品目数は266品目(2月は255品目)となり、下落品目数が4ヵ月ぶりに増加した。
上昇品目数の割合は38.0%(2月は39.1%)、下落品目数の割合は50.8%(2月は48.7%)、「上昇品目割合」-「下落品目割合」は▲12.8%(2月は▲9.5%)となった。
コアCPI上昇率はプラスとなっているが、品目数で見れば全体の半分以上が下落している。物価上昇に裾野の広がりが見られないことを示したものと言えるだろう。
ガソリン店頭価格は4月初旬には160円(レギュラー、全国平均)近くまで上昇したが、直近3週間は下落するなど、ここにきて落ち着きを見せている。エネルギー価格は引き続き消費者物価の押し上げ要因となるが、前年の水準が高かったこともあり押し上げ幅が大きく拡大することはないだろう。コアCPI上昇率は当面小幅なプラスで推移することが予想される。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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