消費者物価(全国12年2月)~コアCPI上昇率は5ヵ月ぶりのプラス

2012年03月30日

(斎藤 太郎) 日本経済

■見出し

・コアCPIは市場予想を上回り5ヵ月ぶりのプラス
・物価上昇品目数が3ヵ月連続で増加
・コアCPIは小幅なプラスが続く見込み

■introduction

総務省が3月30日に公表した消費者物価指数によると、12年2月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比0.1%(1月:同▲0.1%)と5ヵ月ぶりのプラスとなり、事前の市場予想(QUICK集計:▲0.1%、当社予想も▲0.1%)を大きく上回った。大幅な下落が続いていたテレビが新製品投入の影響から1月の前年比▲36.1%から同0.5%とプラスに転じたことがプラス転化の主因である。テレビだけでコアCPI上昇率は前月よりも0.3ポイント程度押し上げられた。
コアCPI上昇率のうち、エネルギーによる寄与が0.42%(1月は0.46%)、食料品(生鮮食品を除く)が0.09%(1月は0.07%)、その他が▲0.41%(1月は▲0.63%)であった。
消費者物価指数の調査対象524品目(生鮮食品を除く)を、前年に比べて上昇している品目と下落している品目に分けてみると、2月の上昇品目数は205品目(1月は204品目)、下落品目数は255品目(1月は260品目)となり、上昇品目数は3ヵ月連続で増加した。
上昇品目数の割合は39.1%(1月は38.9%)、下落品目数の割合は48.7%(1月は49.6%)、「上昇品目割合」-「下落品目割合」は▲9.5%となった。マイナス幅は前月の▲10.7%から縮小したが、依然として下落品目数が上昇品目数を上回っている。コアCPI上昇率はプラスに転じたものの、物価上昇の裾野が広がっているわけではない。
エネルギー価格の上昇率(全国2月、東京3月)は前月よりも縮小したが、原油高、円安を背景にガソリン、灯油の店頭価格はこのところ急上昇しており、電気代、ガス代も高止まりが続くことが見込まれる。
エネルギー価格の上昇を主因としてコアCPI上昇率は当面小幅なプラスで推移することが予想される。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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