アジアの貿易構造~アジア域内の貿易と欧米先進国との貿易

2012年02月22日

(高山 武士) 欧州経済

     
  • アジアは欧米先進国に対して大きな貿易黒字を計上している。また、アジアの中でも中国が貿易黒字の大部分を計上している。 
  • アジア域内貿易の中心プレイヤーは中国、日本、韓国、台湾である。中国は、欧米に対して大幅な貿易黒字となっており、韓国と台湾は中国に対して貿易黒字となっている。 
  • 欧米経済の低迷を受け、アジアの欧米向け貿易黒字は減少する可能性が高い。その影響は中国を起点として、域内の各国・地域に波及し得る。 
  • 欧米先進国の低迷による貿易黒字縮小の影響は、すでに中国や韓国、台湾などで見られている。中国による欧米向け輸出は鈍化しており、また、韓国・台湾による中国向けの輸出も鈍化している。 
  • 香港とシンガポールはアジア域内貿易のハブとしての役割を果たしている。このうち香港は主に中国とのハブとなっており、シンガポールはASEANとのハブとなっている。 
  • アジア域内の貿易に占めるASEANの貿易額は小さい。しかし、ASEAN各国の経済規模も小さいため、貿易によって大きな影響を受ける。マレーシアやタイは中国向けの輸出シェアが拡大しており、韓国や台湾と同様に中国向け輸出の減速が成長抑制の要因となる可能性がある。



経済研究部   主任研究員

高山 武士(たかやま たけし)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴

【職歴】
 2002年 東京工業大学入学(理学部)
 2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
 2009年 日本経済研究センターへ派遣
 2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
 2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
 2014年 同、米国経済担当
 2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
 2020年 ニッセイ基礎研究所
 2023年より現職

【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会 検定会員

レポートについてお問い合わせ
(取材・講演依頼)

関連カテゴリ・レポート