2月ECB政策理事会:政策金利変更は検討せず。ギリシャ政府債務再編には利益分配の範囲での対応は可能

2012年02月10日

(伊藤 さゆり) 欧州経済

■見出し

・新たな決定は12月理事会決定を受けた各国中銀の担保要件緩和の承認のみ
・ギリシャ政府債務再編には利益の分配の範囲での対応は可能との判断

■introduction

9日開催の2月の欧州中央銀行(ECB)政策理事会では、12月の決定を受けた各国中銀の担保要件緩和の承認以外の決定はなく、「政策金利について協議しなかった(ドラギ総裁)」。
信用収縮の懸念は消えていないが、足もとでは景気悪化のペースは鈍りつつある。3年物資金供給の効果を見極めるためにも、ECBは当面、様子見を継続する可能性が高いと思われる。
記者会見ではギリシャ政府の債務再編に関するECBの関与についての質問が相次いだ。ドラギ総裁はユーログループ(ユーロ圏財務相会合)の決定を待つとして具体的コメントを避けたが、ECBへの出資比率に応じて利益を分配する範囲での債務交換は条約に抵触しないとの解釈を示し、限定的な関与の可能性を示唆した。

経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり(いとう さゆり)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

経歴

・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職

・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
           「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員

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