1月マネー統計~都銀の貸出にもそろそろ底打ちの兆し

2012年02月09日

(上野 剛志) 金融市場・外国為替(通貨・相場)

■見出し

・貸出動向:前年比0.7%増
・主要銀行貸出動向アンケート調査:銀行からみた企業の資金需要はやや減少
・マネタリーベース:過去2番目の高水準
・マネーストック:リスク回避姿勢に揺るぎなし

■introduction

日銀が発表した1月の貸出・資金吸収動向等によると、銀行総貸出(平残)の前年比伸び率は0.7%と4ヶ月連続の前年比プラスとなり、前月の同0.5%と比べてさらにプラス幅が拡大している。残高で見ても、従来は比較対象である前年のハードルが下がることが伸び率に大きく貢献していたが、足元では残高自体の増勢が強まってきている。
内訳では、地銀が前年比2.1%増(前月は2.0%増)、都銀等が同▲0.6%減(前月は▲1.0%減)。引き続き地銀がプラス幅を拡大している一方、都銀等ではマイナスが続いているが、都銀等のマイナス幅縮小の動きは月を追うごとに顕著になっており、そろそろ底打ちの兆しが見えてきた。
貸出の増勢には、社債発行が困難となっている電力会社向け増加やM&A資金、復旧・復興に伴う被災地での資金需要などが寄与しているようだ(図表1~5)。

経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志(うえの つよし)

研究領域:金融・為替

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴

・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

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