11月マネー統計~銀行貸出は2ヵ月連続で前年比プラスに

2011年12月09日

(上野 剛志) 金融市場・外国為替(通貨・相場)

■見出し

・貸出動向: 前年比0.2%増
・マネタリーベース: 残高は過去2番目の高水準に
・マネーストック: リスク回避色が強まる

■introduction

日銀が発表した11月の貸出・資金吸収動向等によると、銀行総貸出(平残)の前年比伸び率は0.2%と、23ヶ月ぶりに前年を上回った前月(0.1%増)に続いてプラスを維持した。
内訳では、地銀の前年比1.9%増(前月は1.8%増)に対し、都銀等では同▲1.3%減(前月は▲1.6%減)と依然としてマイナスが続いているものの、改善してきている。貸出先別(10月まで)で見た場合では、社債発行が困難となっている電力会社向け貸出増加などから大企業向けが8月に前年比プラス化、以降もプラス幅を拡大している。
ただし、前年比のプラスは比較対照である前年の貸出残高減少による影響も大きい。貸出残高の月次トレンドを見ると、足元で力強い回復が見られるわけではない。欧州債務危機や新興国経済の減速など、先行きの強い不透明感から企業の設備投資マインドが抑制されている面もあると考えられる(図表1~4)。

経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志(うえの つよし)

研究領域:金融・為替

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴

・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

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