インド7-9月期GDP:前年同期比+6.9%~逆境が続くなか、産業政策の動向が重要に

2011年12月02日

(高山 武士) 欧州経済

■見出し

・現状:内需が低迷
・短期的には逆境、中長期では規制緩和・産業政策の動向が重要

■introduction

インド中央統計機構(CSO)は11月30日に2011年7-9月期の国内総生産(GDP)を公表した。実質のGDP成長率(供給側 )は前年同期比6.9%の増加で、4-6月期(同+7.7%)より鈍化し、7.0%を下回る成長率となった。
供給側を見ると、成長の足枷となったのは第二次産業であることが分かる。第二次産業のうち、シェアの大きい製造業が前年同期比+2.7%と4-6月期(前年同期比+7.2%)と比較して大きく減速したこと、シェアは小さいものの、鉱業が前年同期比▲2.9%と4-6月期(同+1.8%)から縮小に転じたことによって、成長が抑制されている 。一方でサービス業は健闘を見せ、金融・保険・不動産・事業サービスは前年同期比+10.5%と4-6月期(同+9.1%)から拡大した。GDPで最大のシェアを占める小売・ホテル・運輸・通信も前年同期比+9.9%と4-6月期(同+12.8%)からは鈍化したものの、比較的高い成長を見せている。
支出側では、内需が奮わず、投資が前年同期比▲0.6%と4-6月期(同+7.9%)から大きく縮小しマイナス成長を記録した。なお、投資がマイナス成長となったのは、2009年1-3月期以来のことである。また、個人消費も前年同期比+5.9%と4-6月期(同+6.3%)より鈍化し、苦戦している 。一方、外需は比較的堅調 で、7-9月期は内需の苦戦を外需がカバーした形となっている。

経済研究部   主任研究員

高山 武士(たかやま たけし)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴

【職歴】
 2002年 東京工業大学入学(理学部)
 2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
 2009年 日本経済研究センターへ派遣
 2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
 2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
 2014年 同、米国経済担当
 2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
 2020年 ニッセイ基礎研究所
 2023年より現職

【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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