法人企業統計11年4-6月期~震災の影響で利益、設備ともに急速に悪化

2011年09月02日

(斎藤 太郎) 日本経済

■見出し

・震災の影響で7四半期ぶりの減益に
・設備投資は4四半期ぶりの減少
・4-6月期・GDP2次速報は下方修正を予想

■introduction

財務省が9月2日に公表した法人企業統計によると、11年4-6月期の全産業(金融業、保険業を除く、以下同じ)の経常利益は前年比▲14.6%(1-3月期:同11.4%)と7四半期ぶりの減少となった。震災の影響で売上高が大きく落ち込んだ(1-3月期:前年比0.3%→4-6月期:同▲11.6%)ことが、そのまま経常利益の急速な悪化につながった。製造業(前年比▲15.3%)、非製造業(前年比▲14.2%)ともに前年比で二桁の減益となった。
経常利益の内訳を業種別に見ると、サプライチェーンの寸断の影響を強く受けた輸送機械が1-3月期の前年比▲74.1%に続き同▲90.2%の大幅減益となったほか、電気業も▲93.9%の急減となった。一方、卸売・小売業は、売上高は前年比▲16.3%と大きく落ち込んだものの、経常利益は同6.4%と増益を維持した。規模別には、1億円~10億円の中堅企業は前年比0.5%とかろうじて増益を確保し、10億円以上の大企業も同▲3.9%と小幅な減益にとどまったが、1000万円~1億円の中小企業が前年比▲38.3%の大幅減益となった。
季節調整済の経常利益は前期比▲11.9%(製造業:前期比▲13.0%、非製造業:同▲11.4%)と2四半期連続で減少し、減少幅は1-3月期の同▲7.1%から拡大した。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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